未病とは'未'だ'病'気でない状態をいいますが、主に漢方や東洋医学で使われる言葉です。私が習った谷美智士先生は、「未病を治す」という言葉をよくお使いになりました。谷先生は海外でエイズの鍼治療に取り組み、効果をあげられました。HIVウイルスに感染した患者さんが、実際に感染症などのエイズの症状がでてきた場合に初めて病気と認識される訳ですが、こうした患者さんに対して症状が出てくる前に鍼治療により免疫力を改善させて症状の軽減を達成した点はまさに「未病を治す」ことの成功例だと思います。
整体の世界では痛みとは言えないまでも「腰に違和感がある」「膝がなんとなくこわばる」「なんとなくだるい」などの症状とは言えない感じを未病と考えます。例えば関節リウマチで有名な症状は「朝のこわばり」です。朝のうちは指の関節にこわばりがあっても少し動いているうちに気にならなくなる。これが朝のこわばりです。関節の中に炎症が起きていることで違和感や動きにくさを感じるのですが、動くことで血流が増えたり、関節内の潤滑性が上昇して、関節内の炎症が気にならなくなるのです。これは炎症自体が治まったわけではありませんので、このくすぶった状態が長く続くと関節内で組織破壊が進行します。こうした兆候をいち早く捉えて適切な対応をすることが未病を治すということなのです。
他にもお通じにトラブルがある、血流に滞りがある、火照り・フワフワ感などの自律神経失調、内臓の機能低下といったことも未病と言えるでしょう。整体で改善できるのは肩こり、腰痛だけではありません。こうした未病を治すことも可能なのです。