アナトミートレインで考える「12のライン」には、東洋医学の「経絡」との共通点があります。

経絡とはツボの並んだものであり、気血が流れる道として体中を巡る線のようなものです。経絡が「気」の流れに基づいて体をつないでいる一方、アナトミートレインは筋膜によって体の構造をつないでいるといえます。

鍼灸では経絡に沿って効果を高める鍼やお灸を使い、気の滞りを解消して体の調子を整える一方で、アナトミートレインの場合そのラインに沿って施術をすることで同じように全身の調節をすることができます。 

つまりアナトミートレインと経絡には「全身のつながりの調和」という共通した視点があります。

筋膜には侵害受容器が分布しているので「筋膜リリース」をする場合は強い痛みを感じさせてはいけません。

触圧覚刺激などで皮膚の抵抗を取り除いてから目的の筋膜までたどり着くのが本来のやり方であり、触圧覚刺激やアナトミートレインを活用して筋膜を調整することで神経系の治療にもなり、自律神経のバランスを整えて、リラクゼーション効果やストレスの軽減が期待できます。 

筋膜と脳神経系は密接に関連しているため、筋膜の状態を正常にすることで体全体だけでなく、精神的にもよい影響を及ぼすと考えられます。

東洋医学における経絡とアナトミートレインなどの機能解剖学を融合させることは重要な研究であり、これをさらに探求していきたいと思っています。