有害ミネラルのハナシ ヒ素

ヒ素,水質汚染,農薬,米,ひじき,魚介類,有機ヒ素,
 
ヒ素とは、元素記号Asで表される自然界に広く存在する元素であり、金属と非金属の両方の性質を持つメタロイドです。

強い毒性を持つ無機化合物としては、短期間に多量摂取すると急性中毒、長期間継続して摂取すると発がん性や臓器障害などを引き起こし、カドミウムや鉛などと共に有害ミネラルに分類されています。


自然由来や産業活動によって土壌や水、食品に含まれ、人々の健康や環境に影響を与える一方で、半導体の製造などにも利用されます。


自然環境への存在


天然由来:

火山活動、森林火災、鉱物の風化などによって自然環境中に放出され、土壌や水中に天然由来のヒ素が含まれます。


産業活動由来:

火力発電、金属精錬、廃棄物の処理などの産業活動によっても環境中に放出されます。

主な形態と毒性


ヒ素化合物:

ヒ素は単体としてだけでなく、炭素や酸素と結合してヒ素化合物として存在します。


有機ヒ素と無機ヒ素:

炭素を含む「有機ヒ素」と炭素を含まない「無機ヒ素」があり、特に無機ヒ素は強い毒性を持つとされています。


健康への影響:

短期間に多量の無機ヒ素を摂取すると、吐き気、腹痛、下痢などの急性中毒症状を引き起こし、死に至る場合もあります。

以前は急性ヒ素中毒のニュースが聞かれましたが、最近は農薬に含まれることがなくなったためそういう報道はなくなりました。

慢性的に摂取を続けると、皮膚炎や皮膚・内臓・神経系の障害、そして発がん性が指摘されています。


主な用途


医薬品・半導体:

毒性が強い一方で、急性前骨髄球性白血病の治療薬として利用されることがあります。

また、トランジスタや発光ダイオード(LED)などの半導体素子の原料としても重要です。


過去の利用:

かつては農薬や殺虫剤、木材の防腐剤などに使用されましたが、現在はその多くが禁止されています。



蓄積毒性:

低濃度であっても、食物連鎖などを通じて体内に蓄積されると、健康被害を引き起こす恐れがあります。


食品からの摂取源


米:

日本では、米からのヒ素の摂取量が最も多いと推定されています。


ひじきなどの海藻類:

ひじきなどの海藻類には無機ヒ素が多く含まれていると報告されています。


魚介類:

魚介類にもヒ素が含まれていますが、多くは無害な有機ヒ素として存在します。


対策と注意点


バランスの取れた食事:

極端な摂取は避け、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。

環境基準と管理


規制:

ヒ素は水質汚濁防止法や土壌汚染対策法、食品衛生法などでその濃度に基準が定められています。


水質基準の遵守:

水道水中のヒ素濃度は厚生労働省の定める基準値(1リットルあたり0.01mg以下)が定められています。


管理:

食品中のヒ素に関しては、生産から消費までの段階で、摂取量を合理的に可能な限り減らすべきだという国際的な合意があります。


私たちは食品中のヒ素に関する最新の情報やリスク評価について、食品安全委員会の情報を確認することが推奨されます。